一般歯科(深い虫歯)
大事なのは、歯髄を残せるか?残せないか?
虫歯治療において、大きな分岐点は虫歯の細菌が歯髄に到達をしたか?していないか?というところです。
穴の大きさではありません。深さがポイントなのです。
ここでは、歯髄を残せないくらい、深い虫歯の説明をしていきます。
穴の大きさではありません。深さがポイントなのです。
ここでは、歯髄を残せないくらい、深い虫歯の説明をしていきます。
歯髄が残せない場合
一見、小さな虫歯でも歯髄をとることがあります。
外見からみると、少し欠けているだけかもしれませんが、虫歯は、中で大きくなり、神経に到達しています。大切なことは、外からの見た目の大きさではなく、虫歯菌の先端が歯髄まで達しているか?いないか?です。
小さな虫歯でも穿通性といって、ドリルで穴をあけたような進行をされると、大きな治療になります。
逆に、見た目が大きそうでも、歯髄に到達していなければ、小さな治療で済みます。
しかし、歯髄をとる治療をする歯のほとんどは、虫歯の見た目も大きいです。
小さな虫歯でも穿通性といって、ドリルで穴をあけたような進行をされると、大きな治療になります。
逆に、見た目が大きそうでも、歯髄に到達していなければ、小さな治療で済みます。
しかし、歯髄をとる治療をする歯のほとんどは、虫歯の見た目も大きいです。
歯髄炎
歯髄炎の動画
進行の早い虫歯が歯髄に到達すると、激烈な痛みを伴う歯髄炎を起こすことがあります。虫歯が直接、歯髄に炎症を起こしたため起る症状です。(進行が遅い場合は歯髄炎を起こさないこともあります。)
「虫歯を放っておいたら、とんでもなく痛くなってしまって・・・。」歯髄炎なると急患でかけこんでくる方が多いです。
こうなる前に、早く来て下さいね!!
「虫歯を放っておいたら、とんでもなく痛くなってしまって・・・。」歯髄炎なると急患でかけこんでくる方が多いです。
こうなる前に、早く来て下さいね!!
歯根の治療
抜髄の動画
虫歯菌が歯髄まで達してしまったら、残念ですが、歯髄をとりましょう。専門的には、抜髄といいます。麻酔をかけるので、そんなに痛くはないですが、歯髄炎になっている場合は、麻酔が効きにくいこともあり、抜髄が痛みを伴うので、大変なこともあります。歯医者が痛いところだといわれる一番の理由は、この歯髄炎の抜髄があるからでしょう。歯髄をとってしまえば、楽になるのですが。
1日目) 抜髄
@ 部分麻酔
必ず部分麻酔をします。
麻酔のチクッとするのが苦手な方は、ドクターにお申し出ください。表面麻酔をしてから、薬液注入のスピードをゆっくりとやります。
@ 部分麻酔
必ず部分麻酔をします。
麻酔のチクッとするのが苦手な方は、ドクターにお申し出ください。表面麻酔をしてから、薬液注入のスピードをゆっくりとやります。
A 歯髄の上の歯質除去
あの誰もが知る「キーン」という歯を削る機械(タービン)で削って、歯髄の上の硬い歯質を削り取って穴を開けます。
あの誰もが知る「キーン」という歯を削る機械(タービン)で削って、歯髄の上の硬い歯質を削り取って穴を開けます。
B 歯髄の除去
主にファイル、リーマーと呼ばれる針の先にやすりがついている器具を使います。その他、さまざまな機械や薬剤を使って、歯髄を取り去ります。言い方を変えれば、歯の中を空にする作業とも言いましょうか。
主にファイル、リーマーと呼ばれる針の先にやすりがついている器具を使います。その他、さまざまな機械や薬剤を使って、歯髄を取り去ります。言い方を変えれば、歯の中を空にする作業とも言いましょうか。
C 仮封(かふう)
一歯髄をきっちりと除去して薬を中に入れ次回までに外界と歯の中とを遮断するための仮封をして今日はおしまいです。けっこう大変でしたね。
お疲れ様でした。
一歯髄をきっちりと除去して薬を中に入れ次回までに外界と歯の中とを遮断するための仮封をして今日はおしまいです。けっこう大変でしたね。
お疲れ様でした。
根管治療(根治)の動画
2日目) 根治
D 仮封をはずし、再びファイルを使って根の壁を削っていきます。専門的には歯の根の部分を治療するので根治(こんち)
といいます。神経を取った時の穴の直径は0.1〜0.2mm程度ですが0.4〜0.5mmくらいに拡大します。歯髄の分岐は前歯では1〜2本ですが、大臼歯では3〜4本と個人差もあります。イラストでイメージ図をみていると簡単そうですが、歯科治療で最も細かい治療が根治だと思います。狭い、暗い、唾液だらけのお口の中での治療は正に歯医者泣かせです。全ての分岐をきれいにとったら根治は終わりです。しかし、出血がなかなか止まらなかったり、噛むと痛みがあったり、拡大に難航したりはよくありますので、根治は70%くらいは1日で終わりますが、残りの30%は2〜3日かかることがあります。
3日目) 根充
E 歯の中がきれいになったので、ばい菌が再び入りにくいように、空洞を詰める作業をします。専門的には根充(こんじゅう)といいます。根充剤を歯の根の穴の数だけ詰めていきます。穴の長さ、太さを0.1mm単位で計測し、歯の根にぴったりとあった根充材を詰めます。根気と熱意のいる治療です。丁寧にやりますので、お口を開けて動かないようにご協力ください。
この作業は、しっかりとした滅菌体制の中でやらないといけません。
この作業は、しっかりとした滅菌体制の中でやらないといけません。
ようやく根の治療が終わりました。ここまでが根の治療といわれる、抜髄から根充までの一連の流れです。根の治療が終わると、今度は歯を組み立てる治療になります。組み立てる治療は、虫歯により失った大きさによって、方法が異なります。
● 根治、根充の弱点 ●
世界中の歯医者は、歯髄の治療をしたら必ず根治をします。私も実際、毎日何人も根治をしています。しかし、この根治、結論から言ってしまえば完全とは程遠い治療だと私は考えています。(ここの部分は先生によって見解が異なるのであくまでも私見ということで言わせていただきます。)えっ?じゃあ、なぜ根治をやるの?と思われる方も多いかと思います。
理由は、根治以上の治療が他にないからです。根治が歯髄を取った後、最も確率の良い治療法だからです。ですから私は根治の批判をしているわけではありません。ただ、皆さまに根治の実際と限界を知っていただきたいのです。これを知っていただけたら、根治になる前に歯医者に行こうという方が1人でも多く増えてくれることを祈って。m(__)m
理由は、根治以上の治療が他にないからです。根治が歯髄を取った後、最も確率の良い治療法だからです。ですから私は根治の批判をしているわけではありません。ただ、皆さまに根治の実際と限界を知っていただきたいのです。これを知っていただけたら、根治になる前に歯医者に行こうという方が1人でも多く増えてくれることを祈って。m(__)m
<根管のイラスト>
患者さんに説明をするときなどによく用いる歯の一般的な断面図のイラスト。歯根がイメージしやすいように主根だけ描かれている。
患者さんに説明をするときなどによく用いる歯の一般的な断面図のイラスト。歯根がイメージしやすいように主根だけ描かれている。
<実際の根管の走行>
実際の歯は、主根だけでなく側根が網の目のように走っています。生物学的に見れば、左のイラストより、右のイラストの形の方がむしろ自然の形です。
実際の歯は、主根だけでなく側根が網の目のように走っています。生物学的に見れば、左のイラストより、右のイラストの形の方がむしろ自然の形です。
側根が網の目のように走っていることを理解した上で根治する
ファイルという針の先に、やすりがついた器具を使って、根管の内壁を切削していくのが根治の基本です。
しかし、これだけ走行が複雑だと主根管をしっかりやるだけでも精一杯で、分岐した細かい根管に至っては、ファイルは全く入りません。すなわち、完璧な根管治療などはありえないと言い切れます。
(主根管ですら見つからないことや、狭くなっていてファイルが入らないことなどがあります。)
しかし、これだけ走行が複雑だと主根管をしっかりやるだけでも精一杯で、分岐した細かい根管に至っては、ファイルは全く入りません。すなわち、完璧な根管治療などはありえないと言い切れます。
(主根管ですら見つからないことや、狭くなっていてファイルが入らないことなどがあります。)
完全な治療ではなくても・・・・。
主根管だけでもしっかりときれいにする。丁寧に根治した歯100本と適当に根治した歯100本では、その後のトラブルなる期間に差が出てきます。できうる限り丁寧に根治をしていくことが歯の残存の確率を上げることになります。
根治を当院にてお引き受けした以上、持てる技術の限りを尽くします。
根治を当院にてお引き受けした以上、持てる技術の限りを尽くします。
ご理解下さい・・・・。
根治は他の治療より、難しい治療です。精一杯治療すれば、多くは何年ももつでしょう。しかし数%は、治療に数か月かかったり、術後痛みがしばらく引かなかったり、半年くらいで抜歯になったりすることもございます。(最大のトラブルでも歯を抜く以上のトラブルにはなりません。)
当院では主根管の消毒に手抜きをしているつもりはないのですが、以上の根治の性質と限界を知っていただいて根治後のトラブルになった場合は、再根治や抜歯など善後策をとっていくしか方法がないこと、ご理解下さい。m(__)m
当院では主根管の消毒に手抜きをしているつもりはないのですが、以上の根治の性質と限界を知っていただいて根治後のトラブルになった場合は、再根治や抜歯など善後策をとっていくしか方法がないこと、ご理解下さい。m(__)m
根治になる前に・・・。
お早めに来て下さい。m(__)m
歯冠形態修復
まず、歯冠とは?
歯冠とは、歯の頭という意味です。歯は大きく分けると歯冠と歯根の2つに分類されます。お口を開けた時に、見える部分が歯冠です。歯肉の中に埋まって見えない部分が歯根です。
歯冠形態修復の動画
歯冠修復法は歯冠の欠損の大きさに応じて大きく、3つの方法があります。
@ クラウン法 歯冠の欠損が大きい場合 根治をした歯の8割がクラウン法で治療します。3日間かかります。
硬質レジン前装冠
保険適応 前歯のみ
保険適応 前歯のみ
オールメタルクラウン
保険適応 奥歯のみ
保険適応 奥歯のみ
ジルコニア
自費治療 前歯、奥歯OK
1歯¥110,000(税込)
自費治療 前歯、奥歯OK
1歯¥110,000(税込)
A インレー法 奥歯のみ。歯冠の欠損が中等度の場合 前歯に入れることはありません。2日間かかります。
B レジン法 歯冠の欠損が小さな場合 前歯でも奥歯でもできます。1日で終わります。
1 クラウン法=かぶせ物=冠(かん)
クラウンとは、英語で王冠を意味し、俗に言う「かぶせ物」のことです。根治に至ってしまった歯の8割がクラウン法で治療します。逆にいえば、根治に至るということは、それだけ歯冠の欠損が大きい、虫歯が大きいということです。
保険適用範囲ですと、前歯ならレジン前装メタル冠、奥歯ならFCK(オールメタル冠)になります。
自費ですと、前歯でも奥歯でジルコニアになります。3種類とも治療過程は、ほぼ一緒ですので、ここでは、クラウン法としてまとめて紹介していきます。
保険適用範囲ですと、前歯ならレジン前装メタル冠、奥歯ならFCK(オールメタル冠)になります。
自費ですと、前歯でも奥歯でジルコニアになります。3種類とも治療過程は、ほぼ一緒ですので、ここでは、クラウン法としてまとめて紹介していきます。
クラウン法の治療過程
(根充後1日目)コア形成
歯冠の崩壊が強いのでクラウンを入れる前に歯の上に土台を築かなくてはなりません。土台のことを専門的には「コア(芯)」といいます。
@歯にコアを入れなくてはいけませんので、根充後の歯をタービンを使って形を整えていきます。1分〜3分ほど削ります。この削りを専門的に「コア形成」といいます。
@歯にコアを入れなくてはいけませんので、根充後の歯をタービンを使って形を整えていきます。1分〜3分ほど削ります。この削りを専門的に「コア形成」といいます。
コア形成後、前歯だとこんな感じになります。
奥歯だとこんな感じになります。
A型取りをします。
Bコアができました。
(根充後2日目) コアをsetしてクラウン形成
@メタルコアを接着剤で患者さんの歯にsetします。
@メタルコアを接着剤で患者さんの歯にsetします。
Aコアと歯を削ってクラウンが入る形にします。専門的には「クラウン形成」といいます。5分程度削ります。
クラウン形成後、こんな感じになります。
B型取りをします。
C石膏を流して模型製作
D模型上で、歯科技工士が数日間クラウンを製作します。
Eクラウンが完成です。クラウンは3種類あります。
(根充後3日目) クラウンset
@ 調整
完成したクラウンは模型上ではピッタリでも、歯とは微少ながら、ズレがあります。歯科医師がちょっと削って適合を良くします。この作業を専門的に「調整」といいます。調整ではクラウンを削るだけで、もう歯を削ったりはしません。クラウンのかみ合わせの高さや、きつさを調整するのです。調整を行い、合格したクラウンだけが、患者さんにいれられます。数%ですが、不合格の場合もあります。その場合、費用はかかりませんが、治療日数がもう1日増えます。手作業ですので、ご理解いただけますと幸いです。
完成したクラウンは模型上ではピッタリでも、歯とは微少ながら、ズレがあります。歯科医師がちょっと削って適合を良くします。この作業を専門的に「調整」といいます。調整ではクラウンを削るだけで、もう歯を削ったりはしません。クラウンのかみ合わせの高さや、きつさを調整するのです。調整を行い、合格したクラウンだけが、患者さんにいれられます。数%ですが、不合格の場合もあります。その場合、費用はかかりませんが、治療日数がもう1日増えます。手作業ですので、ご理解いただけますと幸いです。
A set(接着)
接着剤でsetし、余剰セメントを取ったらおしまいです。1時間くらい食事しないで下さいね。m(__)m
接着剤でsetし、余剰セメントを取ったらおしまいです。1時間くらい食事しないで下さいね。m(__)m
2 インレー法
(根充後1日目) インレー形成
@インレー形成 根充後の歯にセメントを詰めたらタービンでインレーの形に削っていきます。歯髄を取ってあるわけですから、削って痛いなんてことはありません。
A型取りをします。
B石膏を流して模型製作
3 レジン法
レジン法は1回で終わります。適応範囲としては歯冠の損壊が非常に小さい場合に限ります。レジン法を狙ってできるわけではありませんので、悪しからず。
@根充後、歯冠の損壊が小さいのでレジン法でいくことになった。
A歯冠の欠損部分にレジンを築製していく。10分程度お時間をいただきます。
Bレジンを詰め終わったところ。
C治療後の歯を外から見た所。
レジン法の弱点
歯髄を取って、数年経つと、歯は黒っぽく変色していきます。歯髄をとったり、神経が死んだりすると、歯は黒っぽくなる性質があるので、仕方のないことです。レジン法をやってしばらくはきれいなのですが・・・。もちろん変色しない方もいらっしゃいます。もし色が気になったら、クラウン法で被せるしか方法はありません。